ハワイ火山国立公園の鳥たちPart2

カテゴリー: 雑感いろいろ | 投稿日: 2007.2.19

もう、2週間も前に“ハワイ火山国立公園の鳥たち”という記事を書きましたが、Part2の予告をしておきながら、こんなに時間が経ってしまいました。
今回はハワイの固有種を含む、多くの土着の植物たちが茂る、ハワイ本来の森に生きる、綺麗で可愛いハワイミツスイたちです。
遠い昔、アメリカ大陸から嵐に巻き込まれたスズメ目の鳥が、海に連れ出され、暴風の中を飛び続け、命からがらたどり着いたのがハワイ諸島。中には耐え切れずに命を落とした者もいたでしょう。
ガラパゴス諸島には、ダーウィンフィンチと呼ばれるスズメの仲間が、同じようにたどり着き、13種類の固有種へと進化し、餌の違いによりくちばしが進化し、進化論のヒントになったことは有名ですね。
ハワイはたった一種類の鳥から、何と55種類という固有種を生み出しました。花の蜜、昆虫、フルーツ、種など、食べ物の違いや、生活環境の違いにより、様々な色や形に進化し、我々の眼や耳を楽しませてくれます。
残念ながら、すでに半数が絶滅してしまい、生き延びている鳥たちも絶滅の危機にあるものが少なくありません。
絶滅した多くの鳥たちは、ハワイに白人と共に入ってきたウィルスにより絶滅しました。鳥が空から降ってくるという、悲劇的な大量絶滅でした。蚊の進入は、人が連れてきた外来の鳥の血を吸い、その後ハワイの鳥の血を吸うと、置き土産にウィルスを置いていきます。ウィルスのいない島で育ったハワイの鳥だけが、発病し死んでしまったのです。
オアフ島などでは、蚊の生息できない標高の高い森が少なく、現在ではハイキングをしても出会わないことも多いのが現状です。私もハワイミツスイに逢いたくて、コオラウ山脈の無数のハイキングコースを歩き回りました。
その時に、ファーブル和田と呼ばれるこの性格が目覚めてしまい、動植物そのもの以外に、植生環境、生態系、地球環境など、ありとあらゆる関連することに興味を持ち、調べては自然の中で確認、検証するという私流の山歩きをするようになりました。時間をかけてノンビリ観察するので、それに付き合ってくれる暇人はいないので、一人で出かけたものです。
オアフでは、何度も何度も足を運んで、やっと出会える貴重なハワイミツスイですが、ハワイ島はおびただしい数の固有種に逢えます。
マウナケア山麓で、生まれて初めてiiwi(イイヴィ)に出会った時の事は、一生忘れません。夕日を浴びたイイヴィは本当に美しかった。ハワイ島への移住を真剣に考えるようになったのは、外来種の汚染が比較的少ない豊かな生態系、満天の星空にハートを射抜かれたからです。
前置きが長くなりましたが、この子たちのことを話すとつい熱くなってしまい、ページがいくらあっても足りません。
私にとっては、かけがえの無い宝物なんです。
私のプライベートのハンドルネームなども、この子たちの名前を使わせてもらっています。
今日は写真の都合で、apapane(アパパネ)、Iiwi(イイヴィ)、Hawaii Amakihi(ハワイアマキヒ)を紹介します。
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(写真をクリックすると少し大きくなります)
上の写真がアパパネです。国立公園内で、最も生息数の多いハワイミツスイです。ワインレッドのような、メタリックっぽいような、美しい羽色で、小さくて機敏で、忙しく花の蜜を集めています。
溶岩と星のツアーで、出会える可能性の一番高い鳥です。
鳴き声もすばらしく、ホイッスルのような高い澄んだ声です。
江戸屋猫八さんでも出せない音色です。
方言があり、カウアイ島とハワイ島では鳴き方が若干違います。
くちばしは、花の蜜をなめやすいように、湾曲し細長くなっています。長い舌を出し、蜜をなめとります。
レフアの花の蜜をなめていると、保護色で風景に溶け込みます。
ツアーでは、双眼鏡をお貸ししますので、肉眼では赤く見えない曇りの日でも、真っ赤なアパパネを見れると思います。
(ツアー中は、天候、お時間の都合などでバードウォッチングができないこともあります)
か細い足で、器用に枝に止まり、蜜を集める姿は本当に可愛いですよ。時には花にぶら下がり、蜜をなめたりします。
体重の軽いハワイミツスイは、実に機敏です。
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羽を震わせ、体全身で一生懸命鳴く姿は、抱きしめたくなる程けなげ。メロディーの複雑さや、バラエティーの多さは群を抜きます。
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次はハワイアマキヒです。アパパネとは非常に似ている鳥です。
色こそ違いますが、くちばしの形や大きさなど共通点が多いんですよ。特に幼鳥は共にグレーなので識別困難です。
親に付いて、餌の採り方やなど短い間に一生懸命、生きていく術を身に付けていかなければいけません。
それに比べて人間はなんとも過保護ですね。二十歳を過ぎても親のすねをかじっている人ぉ~!地球の仲間たちはもっと厳しい世界で生きてますよ~(笑)
ハワイアマキヒもアパパネと共通の餌をとり、生活環境もほとんど同じですが、若干住み分けをしている感じがします。
アパパネは生息数も多く、多くの場所で見られますので、アマキヒの生息地でも見られますが、ハワイアマキヒの非常に多い場所があります。オヒア、コア、イリアヒ、アキアなど植生が同じなのに、やたらハワイアマキヒが多い場所があります。これはなぜなのか調べたいと思っています。
イイヴィは、残念ながらキラウエアではまだ見たことがありません。もっと標高の高い場所で見ることができます。
まだまともな写真がなく、空を飛ぶイイヴィを遠くから撮ったのが数枚しかないのですが、右の写真がイイヴィです。(わからないっすね)
JALのリゾッチャの機体に描かれた、あの可愛い赤い鳥です。
足とくちばしが、アパパネは黒ですが、イイヴィは少し黄色みがかったピンクです。
くちばしの形も、アパパネよりも更に長く、湾曲しています。
ハワイ固有のサワギキョウの花にピッタリと収まるくちばしを手に入れ、奥深い花の蜜を舐めることができるようになりました。サワギキョウもただでは蜜をあげません。イイヴィの頭に花粉をつけて受粉してもらいます。共生関係は便利なようですが、相手がいなくなると、大きな影響を受けてしまいます。
生き物は餌を限定してしまったり、住む環境を限定してしまうと、環境の変化に対応しにくくなります。
生息数はアパパネと比べると桁違いに少ないです。
鳴き声ですが、なんとも不思議な声で、響き渡るメタリックな声は誰にも似てない個性派です。
アパパネよりも更に赤く、本当に真っっっっ赤です!
ちなみに、2年ほど前にイイヴィ色のフリースを見つけ、思わず買ってしまいました。本当に同じ色なんです。
数ヶ月前には、アパパネ色のフリースをプレゼントされ、気に入って着ています。配色まで同じでびっくりしました。
この子たちが生きられるのは、一緒に進化をしてきた仲良しの固有種の森、蚊の生息域よりも標高の高い場所です。我々人間は島のどこにでも住めますが、この子たちはそうは行きません。開発で住処を奪われ、人と共に進入した外来種に住処を奪われたハワイミツスイが暮らせる森を、何とか守っていかなければいけないと思います。そんな彼らのことを知らない日本人が多いのです。
多く知られるだけでも未来は変わるかもしれません。
絶滅寸前の種は、現状維持では確実に滅びます。現状よりも改善しなくては消えてしまいます。まずは知ってもらうことから。